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2004.02.02

松浦理英子「裏ヴァージョン」 ★★★★

裏ヴァージョン
松浦 理英子著
筑摩書房 (2000.10)
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イデオロギーで思い出したのがこの方。この人は、恐らく現在の文壇でもっともイデオロギー色の強い方でしょう。そのイデオロギーとは、マルクス主義でもなく、ネオコンでもなく、新しいと言うけれど実は古い教科書を作るんだ〜、でもなく、なんと「反・性器結合中心的性愛観」(!!!)なのです!。大ヒットした「親指Pの修業時代」 [bk1] [amazon] は、まさにこの主張の啓蒙の書といえましょう。キワものを期待される方には、「残念でした〜」と言っておきます。考えさせられる本です。もし、この方の主張に興味がある方がいらっしゃったら、「優しい去勢のために」 [bk1] [amazon] を御一読ください。こちらは著者の主張が、もっとストレートに出ています。誤解のないように付け加えると、この人の小説にはイデオロギー臭はありません。押し付けがましくなくて、マンネリじゃないからでしょうね。でも、なんで「親指Pの修業時代」、今(2004年2月2日現在)入手不能なわけ?こら、河出書房新社!今回の芥川賞で余裕が出来たら、ちゃんと絶版になってる良書を重版しなさい!でないと、「明日は我が身かしら〜」と思われて、せっかくのアイドル作家を他に取られるぞ!
 で、この方、たいへん寡作なのですが、最新作(2000年出版)がこれ。女友達のところに同居している女性作家が、家賃代わりに書いた短篇に、それに対する友達の批評が添えてある、という形の連作群で構成されています。ところが、この短篇が次第に作家とその女友達との関係性を取り込み始め・・・。という面白い構成の本です。このサイトに度々お越しの方は、なまけもののこの手の作品への偏愛にお気づきかもしれませんが、経験的にこういう実験的な構成の作品は面白いものが多いです。著者が、深く小説の可能性について考えないと書けないからかな?、と思っています。でも、もう最新作が「前世紀」出版になってしまったので、そろそろこの方の新作が読みたい今日この頃です。

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